2026年1月、下請法が「中小受託取引適正化法(取適法)」に改正され、対象範囲や支払いに関するルールが変わりました。
ライブグッズをOEM発注している企業にとっても無関係ではない改正のため、本ページでは何が変わったのか、グッズ発注実務にどう影響するのかを整理します。
中小受託取引適正化法は、従来の「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」を改正したもので、2026年1月1日に施行されました。
名称だけでなく、用語も変更されています。
| 改正前 | 改正後 |
|---|---|
| 下請法 | 中小受託取引適正化法(取適法) |
| 親事業者 | 委託事業者 |
| 下請事業者 | 中小受託事業者 |
| 下請代金 | 製造委託等代金 |
今回の改正では、対象となる事業者の範囲に「従業員数基準」が新たに追加されました。従来は資本金の額のみで判定していましたが、改正後は資本金基準に加えて、製造委託等では委託事業者の常時使用する従業員数が300人を超えるかどうかも判定材料になります(役務提供委託等では100人)。
これは、資本金を調整することで規制対象から外れる「適用逃れ」を防ぐ目的とされています。
グッズ発注元(レーベル・興行会社・グッズ担当部署など)がOEM業者にオリジナルグッズの製造を委託する取引は、一般的に「製造委託」に該当します。
自社が「委託事業者」として規制対象になるかどうかは、発注元と受託側(OEM業者)双方の資本金・従業員数の組み合わせで判定される仕組みです。目安としては、次のようなケースで規制対象となり得ます。
自社が対象に該当するかどうかは、資本金・従業員数の要件を個別に確認する必要があるため、正確な判定は公正取引委員会の公表資料や専門家への確認をおすすめします。
納品を受けてから60日以内に代金を支払うことが求められます。支払期日を定めていない場合は、納品日から60日後が支払期日とみなされ、それを過ぎると遅延利息が発生します。
手形での支払いは原則禁止となりました。電子記録債権やファクタリングについても、支払期日までに満額を受け取ることが困難な場合は使用できません。振込による現金払いが基本になると考えておくとよいでしょう。
原材料費や人件費の高騰などでOEM業者側から価格の見直しを求められた場合、協議に応じず一方的に代金を決定することが禁止されました。価格交渉の申し出があった際は、必要な説明や情報提供を行ったうえで、協議のテーブルに着くことが求められます。
中小受託取引適正化法への改正により、支払期日・支払手段・価格協議という発注実務に直結するルールが明確化されました。フェスやツアーの時期に発注が集中しやすいライブグッズ制作では、支払サイトや支払方法の見直しが必要になるケースもあります。
なお、本ページの内容は2026年9月時点で公表されている情報をもとに整理した一般的な解説であり、個別の取引が規制対象に該当するかどうかや、罰則・経過措置の詳細については、公正取引委員会の公表資料や弁護士など専門家に確認することをおすすめします。